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「医師の団結を目指す委員会」

12月18日(木)に日本医師会の主催で「医師の団結を目指す委員会」が日本医師会館で行われ、全国医師連盟(全医連) 代表 黒川衛が出席しました。日本医師会執行部からの「日本医師会に対する忌憚のないご意見・ご要望などを自由に御発言賜りたい」という依頼に応じたものです。

委員会で黒川代表は、日本医師会と全医連の違いを明示しました。 全国医師連盟は、臨床現場の医師の考えが直接的に反映される組織を目指して、今後も努力を重ねていくことを表明しました。

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第3回 医師の団結を目指す委員会
日時:12月18日(木)午後3時〜5時
場所:日本医師会館5階 501会議室



■全国医師連盟について

 まず、全国医師連盟の理念を紹介します。 私たちの理念は、欧米内科学会で採択された「新ミレニアム医師憲章」に準じています。すなわち患者の利益の追求と、医師の目から見た社会正義の実現です。更に、医療従事者自らの権利を守ることを掲げています。 日本には、世界に誇る医学と医療の力があります。この医学医療の力をうまく発揮させれば、患者さんだけでなく日本社会全体に貢献する力になります。日本が、世界に向けて、科学立国、技術立国を達成したいならば、この医学と医療の力を大事にすべきでしょう。



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■全医連の三大プロジェクトです。

●診療環境の改善のために、医師の労働環境と診療経営を守るための活動を行います。このためには労働基準法を遵守させること、診療報酬の適正化が必要不可欠です。
●法的倫理的課題の解決は重要であり、医療事故の再発防止と医療紛争の解決のための社会的システムを抜本的に改革する必要があります。また、医師の自律的倫理的機能を発揮させるため、全医師向けの協議機関を提起いたします。
●医療に対する良識ある世論を形成するためにも、医療に対する閣僚等の不見識な発言をただし、医療行政の歪みをただす情報発信を行います。



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■全医連の特徴です。

●全国医師連盟は、全員投票による直接選挙により役員を選出します。会員の当然の権利として投票権があります。
●全医連は、特定政党に無定見に与しません。良識ある国会議員とはその医療政策の如何によって連携をとります。
●全医連は、趣旨に賛同する、勤務医、開業医、研究医を平等に、むかい入れます。入会金による医師間差別は行いません。
●会員による役員選挙権、政党支持の自由、会員間の平等を大切にしています。



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■全医連の活動紹介。

さて、設立後の全医連の活動を紹介いたします。
●全医連は衆参全国会議員を対象に、適正な医療費と医師数を問うアンケートを行い、92名の回答が寄せられました。 上のグラフは、横軸に望ましい医療費を、縦軸に望ましい医師数をとったものです。日本の現状は医療費がGDP比較で8%前後、 国民千人あたり医師数が2人で、いずれも先進国で最低レベルですが、回答のあった自民党から共産党までの多くの議員が、 日本の医療費不足と医師不足に対する認識を持っていました。 日本の医療費を増やすべきだとする国会議員の共通認識が、政党を超えて存在するこの現状は、医療費抑制政策からの転換を実現する チャンスといえるのです。このグラフからも言えるように、特定の政党のみに期待する態度は誤っていると言えるでしょう


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■事故調に関して。

●医療関連死に対する原因究明再発防止機関の設立には私たちは賛成しています。
●しかし、厚労省の医療事故調試案、大綱では、今までと同様に不適切な刑事訴追が起こります。 不適切な刑事訴追を運用ではなく、明文化された法律によって防止することが、何よりも重要なのです。各地の医師会でも、厚労省案の この重大な欠陥に気づき反対していることが判明しています。だいたいオッケーなどという安易な判断は誤りです。刑事手続きを野放しにしていることが、いかに現場を追い詰めているのか理解できていないのではないですか?厚労省案を推進することは自殺行為に近い。日本医師会の理事が各地で説得に回っていることについて非常に強い不満がある。理解しがたい行為である。日本医師会執行部が方針転換をしなければ、地方の医師会から見放されるでしょう。
●医療側からの唯一の対案である私たちの対案では、同時に患者家族を社会的に救済する仕組みを提起しています。患者を救い医師も救う、この姿勢が重要なのです。



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■医師の同業者組織。

●医師の同業者団体は複数あります。大正時代に群雄割拠状態であった医師会は、北里柴三郎によって大日本医師会として統一されましたが、この統一は処方権を獲得しようとした薬剤師会の外圧によると言われています。戦後は、医師会の他に保団連や大学系、医学会系、病院系、など多くの団体が設立された。全国医師連盟は新制医師会成立後、60年ぶりに設立された医師新組織です。全医連は、医療崩壊への対峙姿勢を明確にした組織です。医療崩壊という外圧を前に、医師の団結が必要であるという認識は当然あります。
●昭和54年以来、勤務医開業医数が逆転しました。医療機器の進歩により大学病院、病院団体が力を付けてきました。更に女性の社会進出に伴い女性医師人口が増えてきました。そして医療崩壊と言われる時代に突入しています。こうした時代の変化に、医師達は如何に対応するべきでしょうか?



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■全医連の設立の背景。

●全医連は、医療事故報道や医療訴訟の増加の中で、また医療費抑制と過酷な医療労働環境といった 劣悪な医療状況の中で、医療崩壊としっかり対峙することを旗幟鮮明に掲げて設立した医師新組織です。
●私たちは、医療界の新機軸として、良識ある医師の参集を呼びかけています。



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■諸外国の医師の活動。

●諸外国を見ると、医師会以外に、医師達が大きな社会的提起を行っている姿が見えてきます。 医療訴訟そのものが、医療費を莫大に値上げさせたアメリカでは、活動的医師政治連盟が設立され 良識的な法曹グループとメディアそれに法改正市民グループと連携を取って、医療再生の道を模索しています。
●ドイツでは、10万人の医師を擁するドクターズユニオンが、ワールドカップのさなかでも、秩序だった実行力によって 未払い賃金の獲得と労働時間の短縮を勝ち取りました。 全医連では、こうした諸外国の動きと連携を深め、相互の情報交換を勧めていきます。



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■医療界の現状認識と課題。

日本医師会内部の勤務医部会の活動では、公表されているものだけみても 旧来の医師会秩序に反発している様子が良く伺われます。勤務医は代議員の5%しか存在せず、勤務医委員会の答申書はガス抜きでしかないのではないかと疑われています。 埼玉県医師会の調査でも、多くの勤務医は、もはや医師会の外で組織を作り団結すべきであるとの認識に達していることが判明しています。 更に、私たちは、若手開業医の中にも、医師会の年功序列的な組織運営に、限界を感じているとする声を多く聞いています。



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■医師包囲網の自覚。

医療崩壊と対峙するためには、医師包囲網をしっかりと把握しておく必要があります。 日本の政策は、国会外の経済財政諮問会議、財政制度等審議会、国外の年次改革要望書等が牛耳っているかにみえます。 これらの歪んだ建議により、財務省、厚労省、文科省を通じて、我が国の医学医療政策は不適切な方向へ誘導されています。 更には、一部マスコミの不適切な医療報道、司法による不適切判決などによって、医師包囲網が形成されているのが悲しい現状です。
●医療を国の無駄金、国のお荷物と考える勢力が、医師包囲網を形成しているということを深く認識して、医療再生に向かうべきです。



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■臨床医の三大不安。

全国医師連盟は、臨床医の三大不安を極めて重要視しており、これを正面から解決する為に奮闘いたします。
●訴訟不安、日常的なクレームストレスは深刻なものとなっており、他の訴訟件数が増加していない中、医療訴訟だけは長期増加傾向となっています。産科や外科の訴訟数は突出しており、ハイリスク診療科としての対策が急務となっているのです。
●各種の調査によって、特に勤務医は平均値でも過労死労災基準を超えた時間外労働として放置され、過酷な診療活動を余儀なくされています。日本の医療は、医師達の善意と過労によって、かろうじて支えられてきましたが、いまや限界を超えています。
●診療所の経営に関しても、医療費抑制政策の下で、5分間ルール、レセプトオンライン化、消費税損税など、診療所を困窮させる国の政策に対して、何ら効果的な対策を打てていません。
●訴訟不安、過酷な労働環境、経営不安という三大不安を解決できない医師同業者組織では、存在意義が問われるわけです。



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■全医連の組織構成との比較。

全医連は、設立されて間もない医師新組織ですが、役員平均年齢は医師会よりも20才若く、女性医師の活躍もみられ、勤務医の声も大きく代弁できる組織として成長してきています。全医連は、医師包囲網を深く認識し、医療崩壊に対峙する歴史的使命を自覚した医師新組織です。



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■日医執行部の下に団結できない理由。

日本医師会が我が国の戦後の保健衛生に大きく貢献したことに対しては敬意を払いたいと思います。しかし、この間の日本医師会指導部の活動には見るに見かねるものがあります。何故、医師会の下に団結できないのか?それは、以下の理由によるでしょう。 政治連盟と表裏一体となった政治姿勢は、不正なものです。不適切な医療行政を支えてきたもの達とは手を切るべきです。
●二重三重の代議員制度により、事実上、女性医師や若手の開業医、そして勤務医は代議員から排除されています。これで明日の医療を語る資格があるでしょうか?
●A会員のみに、はたされる高額な入会金。会員間の差別が明確にあります。いっそのことB会員は非正規会員と呼称してはどうでしょうか?
●諫早医師会のアンケートでも、地方医師会レベルでは、厚労省試案に全く賛成していないのは明らかです。厚労省のヒアリングで、全国医学部長病院長会議と口論するような担当理事が仕切っているようでは、医師会は決してリーダーシップはとれません。担当理事の任命責任が問われます。
●臨床医の三大不安(訴訟不安、過労、経営不安)を正面視していないのは問題です。現場の医師が一番求めていることを軽視しておりながら、一方で医師の団結を論議するのは不誠実な態度です。事故調問題で厚労省試案にやみくもに賛成を唱え、地域医師会の言葉を黙殺する日本医師会執行部は、医師の真の団結のために、どれほど役立つのでしょうか。私は日本医師会執行部に対して深い絶望と不信感をぬぐうことができません。

さて、大野病院刑事裁判には、多くの医師の力が動き、刑事裁判支援に動きました。驚くほど医師は団結しました。この医師の団結は、いったい誰がもたらしたのでしょうか?日本医師会執行部はその団結の中心となったと言えるでしょうか。私はそうは思いません。現場の医師が、自分たちで考え、自分たちの言葉で表現し、意見をまとめ、ボトムアップの形で行動を起こしていった結果だと思います。私は、現場の医師の考えがダイレクトに伝わる組織を目指して今後も努力を重ねていきます。
●率直に言って、このヒアリングもガス抜きで終わるのではないかと思っています。現実を直視することでしか現実を変えることはできません。ガス抜きで状況を延命させることができるという従来の手法は、現在全く通用しなくなっています。医療再生を真に願う、現場の疲弊を理解できる方達には、今日の私の言葉は届くものと考え、発表させていただきました。



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