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全国医師連盟第一回東京臨床研究会

全国医師連盟は、現場の第一線の臨床医が多く参加しています。2009年1月11日新宿にて、臨床医学の研究会が開かれました。

日時 2009年1月11日(日)
会場 ファースト貸し会議室西新宿会議室 

●午後1時30分 運営委員会議長挨拶

■第一演題 
【プレゼンの技法】
【抄録】
各種プレゼンテーション技法の紹介と、プレゼン実施時における心構え、および、プレゼン中例外状態に至ったときの対処法の紹介
■第二演題 
【消費税の負担に苦悩する医療経営ーある民間病院の事】
【抄録】
〔背景〕麻生首相は2008年10月30日、3年後に消費税率を引き上げる意向を表明した(10月30日、産経新聞)。政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大大学院教授)は2008年11月4日、、年金、 医療、介護、少子化対策を合わせた追加税負担として、平成27(2015) 年度に3〜4%程度、37(2025)年度に6%程度の消費税率の引き上げが必要になるとする最終報告をまとめた(産経新聞)。
一方、全国の病院の7割以上は赤字と言う現状がある(全国公私病院連盟「平成18年病院運営実態分析調査の概要」)。小泉内閣は、医療制度 改革を推進し、患者の窓口負担を3割に増やし、医療機関の診療報酬を削減してきた。結果、多くの病院は経営難に苦しんでいる。
〔目的〕民間病院の経営の実態、特に消費税の医療経営に与える影響を明らかにすること。
〔対象〕札幌市内にあるA民間病院の2007年度決算報告書を調査した。 A病院の沿革は、入院病床403床(一般病床323、回復リハ54、緩和ケア18、ICU4、救急3)、1日外来患者数661名、外科の年間手術888件、整形外科450件である。常勤医師数69名、研修医19名、常勤看護師 345名。
〔結果〕事業収益82億28588千円、事業費用76億84606千円、純利益4億53905千円であった。事業費用76億84606千円の内訳は、人件費42億71800千円(51.9%)、材料費(薬品費・食品材料費・診療材料費・診療委託費)18億16776千円(22%)であった。消費税の課税対象となった事業費用は、29億45418千円で、5%の1億47271千円を納税している。事業費用76億84606千円に占める消費税は、1.9%であった。2008年2/4半期で純利益88、000千円の赤字であった。消費税は75、506千円であり、赤字の85.8%であった。
〔考察と結論〕消費税率の引き上げは、病院倒産を加速するのは確実である。

■第三演題 
【食餌性出血性胃炎の2例】
【抄録】
今回の2症例は、いずれも日頃摂食することのある食物だが、通常の食し方ではなく、また、胃内所見に類似点もあり、興味深かったため、発表する。
症例1)
患者:63歳、女性
主訴:上腹部痛
既往歴;39歳 脳梗塞、高血圧症
現病歴:平成18年1月30日から上腹部痛を自覚し、2月6日に当院を受診した。
受診時現症:上腹部に圧痛を認めた。神経学的には球麻痺を含めて異常を認めなかった。
受診時検査所見:異常を認めず。
上部消化管内視鏡検査:当日供覧
症例2)
患者:58歳、女性
主訴:吐き気
既往歴;変形性脊椎症で、某整形外科通院中
現病歴:平成18年3月16日朝食前から吐き気があり。3月17日に当院を受診。
受診時現症:上腹部に圧痛あり。
受診時検査所見:他の検査は無し。
上部消化管内視鏡検査:当日供覧
考察)
胃内異物としては、高齢者でのPTPや義歯や胃石、飲酒時の爪楊枝・竹串、小児での貨幣や電池など、精神科疾患患者での針や釘や???なものが多い。異物ではないにせよ、尋常でない食物の摂り方をしないよう、啓発する必要がある。

■第四演題 
【胃切除術後の患者さんに対する、胃腸瘻造設術の工夫】
【抄録】
近年、経腸栄養の重要性の理解と、内視鏡的胃瘻造設術の手技の普及、高齢者の増加にて胃瘻造設例が増加している。その間、介護施設等でも経鼻胃管と比較し胃瘻造設後の管理、手技が容易で安全性の高いことが認知された。
それに伴い、胃切除後など胃瘻造設困難例が、病状安定後も施設入所できないという現実に直面している。今回、施設入所を可能とする胃切除後の患者さんに対し施行した胃腸瘻造設術について検討した。
2001年から2008年までに、私が関わった胃腸瘻造設数は295例でそのうち、281例が内視鏡的胃腸瘻造設術である。また、その他の6例に開腹胃瘻造設、3例に開腹腸瘻造設術、4例に、PTEG(経皮経食道胃管挿入術)が施行されている。
現在、胃瘻造設症例では、全例術前に胸腹部単純CTを施行し、胃と横行結腸の位置関係を確認し、難易度を想定している。また、基本的にはpull法を用い、鮒田式胃壁固定具による胃壁固定を施行している。
胃瘻造設導入当初は、胃切除後症例には内視鏡的胃瘻造設術は施行せず、PTEGや腸瘻造設術を施行していたが、術前CT導入後、胃切除後でもPEG可能な症例があることが明らかとなった。現在まで、胃切除術後への内視鏡的胃腸瘻造設は、12例で全PEG症例の4.3%を占めている。
幽門側胃切除術後ビルロートI法で再建されている場合、腹部CTにて正中創直下に十二指腸が位置していることが多く、この場合、残胃に穿刺不能でも十二指腸に穿刺することが可能となる。作業スペースは狭いものの、胃壁固定具の使用も可能である。当初、十二指腸壁の薄さから、胃液の漏出や、潰瘍形成、また閉塞による胃液の嘔吐が心配されたが、今のところ問題となった症例はない。
幽門側切除術後ビルロートII法で再建後の症例では、直接胃、腸を穿刺することは不可能であることが多く、経鼻胃管が不可能であれば、開腹で腸瘻を造設する事になる。以前使用していた、専用の腸瘻チューブは、細く抜け易いため、事故抜去や、薬剤による閉塞の頻度が高く、また入れ替えも困難であったため、管理が困難であった。そこで、最近は、胃瘻の交換用チューブで内部バンパーが小さい、Boston Scientific Securi-T 24Fr を腸内に挿入し、腹壁と固定することによって、これらの欠点を改善しようと試みている。
胃全摘後の患者さんでは、以前はPTEGを造設することが多かったがこれもチューブ管理が困難である。1昨年経鼻胃管を繰り返し自己抜去する患者さんに対し、内視鏡的空腸瘻造設術を施行した。術前の空腸造影にて、食道と吻合した挙上空腸が腹壁直下にあることが確認できたため、内視鏡下に空腸を胃壁固定具にて固定後、Microvasive One-Step Button 18Fr 2.4cmが留置可能であった。
これらの症例のCT、消化管造影、内視鏡写真などを供覧する予定である。

■第五演題 
【高齢者の頻尿・排尿困難の理由】
【抄録】
日々の診療でお悩みの排尿障害。
尿失禁、排尿困難、(夜間)頻尿などについて、
泌尿器科医でなくてもできる、診断・治療方法について説明します。

■第六演題 
【【新型】インフルエンザという仮想との戦い方
【抄録】
新型インフルエンザという新興感染症の出現に備える取り組みが各地でなされている。当院も感染症指定医療機関としていろいろな会議、訓練に参加してきた。そこでの議論を通して、実際に生じていない疾患に対応する困難を実感した。現実に生じていない想定上の危機に対応する方法はどうするべきなのかについて考察してみたい。

■第七演題 
【原発不明癌〜診断・治療に到るまで〜】
【抄録】
原発不明癌とは、十分な全身検索を行っても原発巣が不明で、転移巣のみが存在する癌の総称であり、欧米でCancer of Unknown Primary(CUP)と呼ばれ定着している概念である。
全癌腫の2〜3%を占めるとされており、詳細な検査をしても70%以上の症例
で原発を見つけることが出来ず、剖検を行っても原発不明な症例が多い。原発不明癌の診断は、免疫染色を含めた病理組織学的診断とCTやPETによる画像検索が最も重要であるが、臨床経過や理学所見、腫瘍マーカーを含めた血液検査も診断治療の指針となり得る。またheterogeneityの強い特定の治療が存在する疾患である場合や、特定の予後良好なsubgroupも存在する。今回の研究会では、腫瘍内科医が如何に診断し治療開始に到るかの過程を報告する。

■第八演題 
【救命救急センターにCPAとして搬送された窒息症例の検討】
【抄録】
「窒息」とは、主に呼吸が阻害されることによって生じる。よく知られているものとしては、正月の主に老人の餅による気道閉塞、春の成人の急性
アルコール中毒による昏睡、夏の海での溺水など、救命センターの風物詩とも言える疾患群である。また、平成20年には、10年連続自殺者が3万人を超え、それに伴って縊首の搬送も増えている。(縊首によるCPAには、気道閉塞、脳血流低下、頚椎脱臼などの機転が考えられている)
今回の研究会では、これらの症例を全て含んで「窒息」として把握できたCPAについて検討し、できれば、典型的な症例について治療経過を提示したい。

■第九演題 
【おたる北脳神経外科開院以降のr-tPA静脈投与例の検討】
【抄録】
〔背景〕脳卒中救急において発見通報から薬剤投与までをいかにスムーズに連携できるか?という観点からPrehospital Stroke Life Supportの重要性が啓蒙され,Stroke治療専門機関の必要条件としてt-PAの使用が挙げられている。そのような状況下,有床診療所「おたる北脳神経外科」は平成20年 1月16日に小樽市内に開院し,発症後3時間以内の虚血性脳血管障害患者に対してt-PA静脈内投与を行っている。
〔対象,方法〕2008年2月3日-8月20日に発症後3時間以内の虚血性脳血管障害患者に対しアルテプラーゼとして34.8万国際単位(0.6mg)/kgを静脈内投与した7例(男性3例,女性4例)年齢57-89(73.3±14.4)歳。
発症からt-PA治療までの時間的背景および家族の同伴,来院時NIHSS,薬剤投与後の血行再建,退院時mRSなどを検討した。
〔結果〕来院時NIHSSは12.3±5.6,発症から来院まで33±15分、治療開始まで109±13分,来院から治療開始までは76±21分で家族同伴のない2例は120分および81分と時間を要した。4/7例にt-PA治療による血行再建が達成された。2/7例に外科的血行再建を行った。血行再建の得られなかった2例に症状の改善(1例は一過性)を認めた。出血合併症は認めなかった。
初期のPerfusion CTでのCBF低下領域において「MTTおよびTime to Peak が延長し、CBVが低下している部位」が最終的な梗塞巣と一致していた。 退院時mRSは2.7±2.2であった。
〔考察,結論〕t-PA使用は急性期血行再建による症状の改善ばかりではなく, 微小血栓溶解あるいは微小循環改善による症状改善の可能性も示唆された。 T-PA使用により血行再建が得られない症例には,病態を考慮に入れつつ外科的血行再建については躊躇すべきではないと考える。更なる症例の経験が必要である。

■第10演題 
【腹部大動脈瘤ステントグラフト挿入術の導入は研修医の手術経験を減らしたか?】
【抄録】 
〔目的〕当科における腹部大動脈瘤ステントグラフト挿入術の導入が研修医の手術経験を減らしたかどうかを検証する。 
〔方法〕平成16年から平成20年まで当科で行った腹部大動脈瘤手術を検討した。当科では平成19年3月からステントグラフト内挿術を導入した。
〔結果〕腹部大動脈瘤の年間手術数は平成16年30例、平成17年22例、平成18年27例、平成19年34例、平成20年51例と増加した(p= 0.004)。しかし開腹による人工血管置換術は平成16年30例から平成20年20例と有意に減少した(p=0.046)。同様に研修医の開腹手術症例も 平成16年24例から平成20年14例と有意に減少した(p=0.021)。
同期間に行われた開腹手術120例のうち95例は研修医が執刀したが、 ステントグラフト44例のうち研修医担当分はわずか4例であった(p= 0.001)。研修医のステントグラフト症例が少ない理由はスタッフが実施医 および指導医の資格をとるためステント治療を術者として行う必要があった からである。 
〔総括〕当科における腹部大動脈瘤ステントグラフト挿入術の導入は研修医の手術経験を減らした。今後、同様の傾向が続くのであれば研修医の教育を 確保するため症例の集約化などを考慮しなければならない。

■第11演題 
【救急活動と法律−】
【抄録】
昭和23年に、終戦直後の社会状況を考慮して、医師法や消防法は作られた。
時代の要請を受けて、政府は警察業務から消防業務を派生させ、さらに自然災害・交通事故などの増加により消防業務より救急業務を派生させてきたが、もはや事実上の制度疲労をきたしている。
救急業務は傷害・疾病構造や人口動態の変化により、医師法第17条の規定にもかかわらず、否応なしに実質的医療行為(ただし医業ではない事に注目!!)を行う必要に迫られてきた。
その都度、消防法の改正や、救急救命士法の制定が付け焼刃的に行われたため、法的な根拠や整合性がほとんど考慮されておらず、救急活動において業務条過失致死傷害を問われるのは時間の問題である。 救急活動における、法的な問題を考察する。

■第12演題 
【がん治療認定医ってなぁに?】
【抄録】(正式なものではありません。発表内容から私が作りました)
がん治療認定医の実際とその意義、及び今後の展開。(意味があるかどうか判らないが、お金はかかるらしい。患者さんにはいいらしい。医者は勉強が大変。でも受ける医者は多いらしい。)
【発表後】
正直その勉強ぶりには驚きました。すべての癌のTMN分類を覚えるなんて・・・。冠動脈三本覚えて適当に15箇所に分けてそれで事済む循環器とは頭の出来が違うのだと実感。問題はその資格の意義をこれから学会などが洞意味づけするのか?と言う討議になりました。

●午後5時40分 黒川衛代表
【全国医師連盟の姿】全医連の現状と課題について報告

午後6時10分 第一回東京臨床研究会終了