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医療の安全確保と診療の継続に向けた医療関連死および健康被害の原因究明・再発防止等に関する試案Ver. 3.10

全国医師連盟

1. はじめに

(1)医療は、国家の基盤となる国民の健康維持・増進を担うものであり、政策上、最も優先させなければならない。医療の安全性向上と診療の継続は、国民の切なる願いである。しかしながら、我が国では、医療の安全性向上に必要な医療関連死および医療行為に付随した健康被害における原因解明への取り組みが、欧米に比べて遅れていた。また、過誤を伴わないと考えられる医療関連死においても刑事手続きがとられてしまい、医療崩壊の重大な要因になったことは周知のとおりである。
(2)医療関連死および医療関連被害における原因究明・再発防止に関して、立ち遅れていた制度設計を見直し、これを現行のWHOガイドラインに準拠するものにし、これまでの刑事、民事の裁判ではない、新たな原因究明・再発防止の制度を創設する必要がある。
(3)新しい制度は、医療の透明性と信頼性を向上させるものとなり、かつ、医療の萎縮を防ぐ環境整備を兼ねたものとする必要がある。
(4)本試案は、医療現場を支える医療従事者および、医療を受ける非医療従事者の議論を基に取りまとめたものである。

2. 医療安全調査委員会(仮称)について

【委員会の設置】
(1)医療関連死および医療行為に伴う健康被害の原因究明・再発防止を目的とした、国の組織(医療安全調査委員会(仮称)。以下「委員会」という。)を内閣府外局に創設する。(別紙1参照)
(2)委員会は、医療関係者の責任追及を目的としたものではなく、医療の安全性向上を目的とするものである。
(3)委員会の委員長は、衆参両院の国会議員若干名により組織される推薦委員会から推薦を受けた医療安全実務経験を有する医療現場で働く医師の中から、内閣総理大臣が任命し、天皇が認証する。
(4)委員会の委員は、衆参両院の国会議員若干名により組織される推薦委員会から推薦を受けた医療安全実務経験を有する医療現場で働く医師の中から、内閣総理大臣が任命する。
(5)地方委員会は高等裁判所(本庁)の所在地および人口100万人以上の政令指定都市に設置する。
(6)各地方委員会のもとに、それぞれ監察医務院を設置する。
(7)地方委員会の下に、事例毎の調査チームを置き、事故調査の実務を行う。
(8)医療事故による死亡および健康被害の補償を目的とする医療事故補償基金(以下「基金」という。)を厚生労働省内に併設する。
(9)委員会、地方委員会、調査チームには医療従事者、法曹関係者、その他有識者等を参与に加え、審議、調査について助言できることとする。
(10)委員会は運営方針を定めるとともに、医療安全の確保のための施策等に関して、関係行政機関等への勧告・助言を行うことができる。
(11)委員会および地方委員会は、医療事故に関する強力な調査権限を有し、医療機関への立入り検査や診療録の提出命令、医療従事者などからの聞き取り調査等を行う権限を有する。委員会および地方委員会は、身柄拘束以外の強制調査権限を有し、必要に応じて裁判所から捜索令状、差し押さえ令状などの交付を受け、家宅捜索、証拠物品などの押収を行うことができる。なお、医療従事者などの関係者は、委員会から質問に答えることを強制されない。
(12)各医療施設は、必要に応じAutopy imaging(以下Aiと記す。)を積極的に行い、さらに解剖の可否、施行施設を遺族と協議する。第三者の施設での解剖を希望する場合、監察医務院での解剖を行う。
(13) 調査チームは、関係者の意見、診療記録、Aiの結果、解剖結果に基づいて臨床経過の評価等を議論し、調査報告書を作成する。
(14)調査対象となる個別事例の関係者は、調査委員会による調査に従事させないこととする。なお、委員会が適切に機能するためには、国民の信頼を得るものでなければならず、委員には中立性と高い倫理観が求められる。
(15)上記の業務を支える事務局の中央および地方単位の設置についても併せて検討する。
(16)医療事故による死亡および健康被害が明らかになり、関係者への賠償請求が困難な事案(制度や行政の瑕疵により生じた医療事故など、医療従事者、医療機関の責任が問えない事案)に関しては、患者および遺族の損害賠償請求等一切の請求権放棄を条件として、委員会は法令で定めた補償の給付を基金に対して命じる。
(17)委員会で医療に過失があったと認定された場合、患者は医療機関に対し損害賠償を請求するか、または補償制度に基づき通常の損害賠償請求を放棄した上で、補償給付のみを受けるかの、どちらかを選択することができる。

【医療事故による死亡および健康被害の届け出】
(18)医療事故の再発防止、医療に係わる透明性向上等を図るため、医療機関および医療従事者からの医療事故の届け出を制度化する。
(19)医療過誤による死亡が否定できない場合は、24時間以内に医療機関および医療従事者から届け出ることを義務付けることとする。その他の医療関連死および医療行為に関連した健康被害の事案(疑い例も含む)についても、医療機関、医療従事者からの届け出を受け付けることとする。
(20)届け出先は委員会委員長とし、これに基づき地方委員会は調査を開始することとする。届け出方法については、文書による届け出以外に、ファクス、および電子メール、委員会ウェブサイトへの送信等、電磁的手段も採用し、24時間受付が可能な体制を構築する。
(21)医師法第21条は改正し、医療関連死については過失犯を除く刑法犯に係わる異状のみを警察への届け出範囲とする。また、刑法209条、210条、211条については非・犯罪化(刑法211条1項前段を削除する、刑法35条2項 を新設し“正当な医療行為により患者に生じた、予期せざる死亡や健康被害は、罰しない。”を加える、 刑法37条の2 を新設し “医療機関外において、他人の身体生命の危機を回避する目的でやむをえずなした緊急の救命活動によって、その他人に生じた死亡や健康被害は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。”等の改廃が想定される)の考え方を取り入れた見直し・廃止を行う。
(22)医療従事者、医療機関の管理者が、医師の専門的な知見に基づき届け出不要と判断した場合には、遺族が委員会に調査依頼を行ったとしても届け出義務違反に問われることはない。
(23)届け出の手続きや調査の手順等に関する医療機関および医療従事者からの相談を受け付ける機能を整備する。

【遺族からの地方委員会への調査依頼】
(24)医療機関および医療従事者からの届け出がなかった場合でも、患者、遺族が原因究明を求める場合は、委員会に調査依頼をすることができるものとする。
(25)委員会への調査依頼に係わる手続きや調査手順などについての相談を受け付ける機能を地方委員会に整備する。

【地方委員会による調査】
(26)地方委員会が、死因解明にAiや解剖が必要と判断される場合には、行政解剖としてこれを実施する。既に遺体のない事例等については、調査継続可能と地方委員会が認めた場合は調査に着手する。
(1) 先ず、医療機関に診療録等(医師記録、看護師記録、検査記録、画像記録、その他診療に伴って発生する記録を含む)の提出を求めるとともに、医療関係者、患者、遺族への聞き取り調査等を行う。これらの業務は、医師や看護師などの医療知識を有する者を含む事務局が中心となって行う。 
(2) 臨床的な見解、Aiの報告を踏まえて、解剖担当医は解剖結果を取りまとめる。
(3) 診療録等から取りまとめられた臨床経過や解剖結果に基づき、原因、健康被害あるいは死亡に至る臨床経過、診療行為の内容や背景要因、再発防止策などについての評価・検討を調査チームの臨床医が中心となって行う。
(4) 臨床医が中心となってとりまとめた臨床経過の評価を基に、調査チームの解剖担当医や臨床医等が議論を行い、調査報告書案として取りまとめる。調査チームの議論の際は、必要に応じて有識者、法律家などの助言を受ける事ができる。
(5) 地方委員会は、調査チームが作成した調査報告書案を、医療事故の当事者および患者・遺族およびその代理人に提示し、意見を聞く。なお、調査報告案の提示を受けた者はこれをマスメディアを含む第三者に公開してはならない。
(6) 地方委員会は、調査チームの作成した調査報告書案を、関係者からの意見聴取後に審議し、必要が有れば再調査を調査チームに命じることができる。最終的に、審議の上、地方委員会の調査報告書として取りまとめ、委員会に報告する。
(7) 委員会は調査報告書を審査し、疑義がなければ、医療機関、医療事故の当事者および患者・遺族およびその代理人に交付し、併せて再発防止の観点から、個人情報等の保護に配慮しつつ、公表を行う。
(8) 地方委員会の調査報告内容に疑義が残る場合は、委員会直轄の調査チームをつくり、地方委員会調査報告書を検証し、最終報告書を作成し、医療機関、医療事故の当事者および患者・遺族およびその代理人に交付し、併せて再発防止の観点から、個人情報等の保護に配慮しつつ、公表を行う。
(9) 調査報告書の取りまとめに当たっては、地方委員会、委員会の議論によって意見の集約を図ることとなるが、議論の結果、委員の間で意見の合致に至らなかった場合は、調査報告書に総ての少数意見を付記することとする。
(27)調査報告書の作成に当たっては、医療関係者以外の者が理解しやすいように配慮する。
(28)医療機関からの届け出または患者・遺族からの調査依頼を受け付けた後、疾病自体の経過としての死亡であることが明らかになった事例、これ以上調査しても原因究明が困難な事例については、調査を打ちきり、その旨を届出人および依頼人に通知する。
(29)全国均一に、かつ、継続して適切な評価を行うため、評価の視点や基準についての指針等を作成するともに、解剖医およびAiの専門家を育成する。なお、不足が予測される解剖医確保のため、病理医の追加研修制度を設け、解剖医の育成に努めることとする。

【院内事故調査と地方委員会との関係】
(30)地方委員会において調査が開始された事例については、医療機関内に置かれた事故調査委員会は地方委員会に対して調査の方法、調査の進捗、結果について随時報告する義務を負う。

【中央に設置する委員会による事故報告書のデータベース化と再発防止のための提言等】
(31)調査報告書を踏まえた再発防止のための対応として、中央に設置する委員会は、集約したデータで年次報告書、分野別報告書を作成し、
(1) 制度上の瑕疵が原因となっている事案が認められた場合には、内閣に対して、制度改善を提言しなければならない。
(2) 不適切な安全基準や施設基準等、行政の瑕疵が原因となっている事案が認められた場合には、所轄国務大臣に対して是正を勧告しなければならない。
(3) 全国の医療機関に向けた再発防止策の提言を行う。その際には必要に応じて、関連する各種医療系団体、各種学術団体に対し、共同提言などの協力を求めることができる。
(4) 医療従事者および医療機関管理者に著しい非行があったと認められた事案については、意見を附して調査報告書を医道審議会送付する事とする。
(32)なお、医療事故再発防止の観点から、平成16年より財団法人医療機能評価機構が医療事故情報収集等事業を実施しているが、統合的な医療安全対策を講じる必要性を考慮し、医療事故情報収集事業は委員会に管理を移管することとする。

【捜査機関への通知】
(33)調査の結果、委員会が捜査機関に通知する事案は、原則として、以下の3事案に限定する。1)悪意、故意が疑われる事案、2)医療事故の隠蔽や医療記録の改竄が強く疑われる事案、3)医療以外の原因による可能性があると判断される事案。
以下の事案は、委員会が調査の結果、捜査機関に通知することができるものとする。4)病態や医療環境等の要因を消除した上での著しい怠惰による事案、5)緊急避難と判断することが困難な事案。
捜査機関に対しては、その求めに応じて、根拠となる客観的資料(調査対象医療者の供述内容及び供述内容のみに基づいた関係者の証言や証拠をのぞく)を送付する。
なお、上記1)〜5)以外の事案は、単純過失の事案を含め、結果の如何を問わず、捜査機関には通知しない。
(34)「医療に関連した不幸な出来事の刑事訴追のための特別法」を設け、
(1) 刑事訴追について、業務上過失致死傷罪の適用に関しては「親告罪」とする。
(2) 委員会から検察庁あての「刑事手続に付すことが相当」との通知、および遺族の捜査機関に対する告訴の両者を起訴の必要条件とする。
(3) 被害届、告訴、告発があった場合、捜査機関は一件記録を添えて事件を委員会に回付し、検察庁が委員会から「刑事手続に付すことが相当」との通知を受けるまでは、捜査を停止するように規定する。
(4)「刑事手続に付すことが相当」との通知には、委員会が調査の過程で採取した診療記録や解剖所見、Ai画像等の客観的資料を添付する。関係者の証言録は、この添付資料に含めてはならない。
(5)委員会の委員、職員、委員会の調査に関わった者は、関係者の証言について守秘義務を負い、当該事案の刑事法廷における証人となることはできない。
(35) 刑事訴訟法第 47 条の「但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない」という規定を委員会による調査で生かすため、特別法にてその例外を「捜査機関は保有する証拠を委員会、地方委員会、調査チームに開示する」ことと規定する。

3. 医療安全調査委員会以外での対応(医療事故が発生した際のその他の諸手続)について
医療安全調査委員会は、医療事故による死亡および健康被害の原因究明及び再発防止を目的としたものであり、その業務は調査報告書の作成・公表と再発防止のための提言、基金への支払い命令をもって終了する。

【遺族と医療従事者・医療機関との関係】
(1)一般に、診療行為に関連した予期しない死亡、健康被害を始めとした医療事故が発生した場合、社会的に求められることは、真実性、公平性、公開性である。医療者側の視点と患者側の視点には違いがあるが、患者側の視点に立つと、初期の対応が適切でなかった場合に、関係者間の意思疎通は悪化し、被害者の医療機関への不信感が募り、紛争に発展しているとの意見もある。医療事故の発生時には医療機関から患者・家族に事故の経緯や原因などについて、十分な説明がなされることが重要である。
(2)このためには、日常診療の中で医療従事者と患者・家族が十分な対話を重ねることが重要であるが、医療資源の貧困がそれを阻んでいる現実があり、今後は多くの資源を医療安全に投入し、改善していく必要がある。特に、事故発生直後から医療機関内での対応が適切になされる必要があり、患者・家族の感情を受け止め、真摯にサポートする医療メディエーターの院内の配置が望まれることから、その育成を図る制度の創設が望まれる。
(3)医療従事者・医療機関と患者・家族との話し合いを促進する観点から、委員会の調査報告書は、第三者による客観的な評価結果として遺族への説明、基金からの支払い、裁判外紛争解決(ADR)や民事手続き等の資料として活用されることが想定される。これにより、早期の紛争解決、遺族の救済に繋がることが期待される。
(4)医療機関と遺族との間では紛争が解決しない場合の選択枝としては、民事訴訟や裁判所による調停、弁護士会の紛争解決センター等の裁判外紛争解決(ADR)機関の活用などがある。いずれの場合においても、事実関係の明確化と正確な原因究明が不可欠であり、委員会の調査報告書は、早期の紛争解決、遺族の早期救済に役立つものと考えられる。
(5)民事訴訟制度による紛争可決には、解決までに時間がかかる、費用が高い、経過や結果が公開されるなど、様々な制約が存在し、医療紛争は、原告患者にとっても、被告医療機関にとっても、他の訴訟類型にも増して負担が大きいとい言われる。特に、医療機関側は多数の患者から訴訟を提起される事態になるならば、訴訟対応だけで疲弊し切ってしまい、本業である医療提供が疎かになってしまうおそれすらある。したがって、医療においては、裁判外紛争解決(ADR)制度を積極的に活用させ、訴訟に至らない段階で早期に紛争解決を図る必要性が高い。
そこで、医療に関する民事紛争については、法律上、調停(法務省認定ADRを含む)を経なければ訴訟を提起できないものとすべきである。調停においては、委員会の報告書や医療安全支援センターが提供する医学情報が、当事者間に話し合いの基盤を作ることが期待される。

【行政処分】
(6)医療事故は、 システムエラーにより発生することが多いことが指摘されているが 、医療事故に対する現在の行政処分は、 医道審議会による医師法や保健師助産師看護師法等に基づく医療従 事者個人の処分が中心となっている。
(7)委員会では、 医療の安全の視点からの調査が実施されることから、システム・ 制度設計の改善に重点を置き、 調査報告書には改善を促す点を記載し医療機関の医療安全対策を推 進させ、関係省庁にはシステム・ 制度の改善を促す勧告を行おこなうものとする。
(8)具体的には、以下のとおりにとする。
(1) システムエラーの改善の視点から、医療機関、医療機関開設者、 医療機関管理者に対する処分を医療法に創設し、 医療機関に対して、委員会の調査報告書が指摘した事項について、 医療の安全を確保するための体制整備に関する計画書を厚労省に提 出することを命じ、再発防止策を講ずるように求める。 これにより、 医療従事者個人に対する行政処分については抑制することとする。
(2) 医療機関が、 医療の安全を確保するための体制整備に関する計画書の提出を命じ られたにもかかわらず提出をしない、また、 計画書の提出はしたものの計画を実施しないといった悪質なケース に関しては、医療機関の処分だけではなく、 その設置者および管理者に対する処分についても医道審議会で検討 する。
(3) 医師法や保健師助産師看護師法等に基づく医療従事者個人に対する 処分は、医道審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が実施している。 医療事故がシステムエラーだけでなく個人の重大な注意義務違反等 も原因として発生していると認められ、 医療機関からの医療の安全を確保するための体制整備に関する計画 書の提出等では不十分な場合に限っては、 個人に対する処分が必要となる場合もある。その際は、 業務停止を伴う処分よりも、 再教育を重視した処分となるように処分制度を見直す。
(9)医療事故に対する行政処分については、 医療従事者の注意義務違反の程度のほか、医療機関の管理体制、 医療体制、 他の医療従事者における注意義務の程度等を踏まえて判断する必要 がある。公正な行政処分を行うために、 委員会は医道審議会に対して資料提供、意見送付、勧告を行い、 医道審議会は委員会から送付された資料、意見、 勧告を基に審議することとする。また、 二重の行政処分を防ぐ観点から、 保険医資格にかかわる処分についても医道審議会が決定する制度に 改める。なお、委員会が医道審議会に送付した資料等は、 刑事手続きに利用できないこととする。

4. おわりに
(1)本制度の実施には、組織面・財政面の検討を加えた上で法整備を行う。施行に当たっては2年の準備期間をとるものとする。
(2)本制度の確実かつ円滑な実施には、医療関係者の主体的かつ積極的な関与および国民の協力が不可欠となる。関係法令の改正・廃止などを含め広く国民全体の合意が得られるように議論が深まることを望む。

厚労省案、民主党案、全医連案の主な相違点

  厚労省案(大綱案) 民主党案 全医連試案
届け出対象 死亡例のみ
一定基準に該当した事例総て。罰則規定有り。
一定基準:医療の誤りに起因する死亡(疑いを含める)。
医療に起因する予期せぬ死亡(疑いを含める)。
罰則規定あり。
患者・遺族が院内事故調の報告に納得しない場合。
或いは、医療機関が必要と判断した場合。死亡例と高度障害が残った場合なども含む。
罰則規定無し。
医療過誤による死亡が否定できない場合は24 時間以内の届け出義務。
その他の事案についても、医療機関、医療従事者、からの届け出可。
患者・遺族からの調査依頼も可能。
罰則規定無し。
調査委員会 中央と地方に設置(医療安全調査委員会) 都道府県に「医療安全支援センター」設置。
二次医療圏毎に窓口設置。
中央と高等裁判所設置都道府県及び人口100 万人以上の政令指定都市に地方委員会を設置
(医療安全調査委員会)(地方委員会の下に各都道府県に監察医務院を設置)。
患者・遺族の救済機関 無し。 無し。 医療事故補償基金(以下、「基金」という)を厚労省下に設置。
報告、勧告、命令など 遺族、医療機関に報告。 患者・遺族、医療機関に報告。 患者・遺族、医療機関、医道審議会に報告。
医療事故補償基金への支払い命令。
関係諸官庁への勧告。
警察への通知 故意や標準的な医療から著しく逸脱した医療、隠蔽、類似の医療事故を過失により繰り返した場合は警察に通知する。
刑事手続きとの調整規定なし。
(→警察、検察の捜査は独自に行われる)
通知規定はなし。
刑事手続きとの調整規定なし。
(→警察、検察の捜査は、独自に行われる)
調査委員会の調査を警察検察の捜査に前置する。
刑事手続きに付すことが相当と判断される事案は、検察庁へ通知
事故調査と刑事手続きとの関係を調整するため、特別法をもって以下の通り規定する。
1)医療に関する業務上過失致死傷罪を親告罪とする。
2)調査機関の「刑事手続き相当意見」と、患者側の告訴の両者が 揃うことを起訴要件とする。
3)捜査機関が患者側から被害届、告訴、告発を受けた場合は、調査機関に通知して調査を求め、
調査機関の「刑事手続き相当意見」が出るまでは捜査を停止する。
死因究明と再発防止策と医療従事者個人の処分の問題 死因究明と再発防止策の検討は同一組織で実施。 死因究明と再発防止策の検討は別組織で実施。
再発防止については全医療機関に事故事例の届け出を拡大。
分析・再発防止策提言能力を強化。
医療従事者個人の処分は行わない。行政処分は別組織が行う。
死因究明と再発防止策の検討は同一組織で実施。
医療事故情報収集等事業を調査委員会に集約
(財団法人医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業を移管する)。
分析・再発防止策提言能力を強化。
医師法21条 医療安全調査委員会に届けた事例は、21 条の届け出不要
(医師法21 条改正)。

 

医師法21 条削除。
死亡診断書、死体検案書、死産証明書を発行できないときに、警察に届け出をする規定を新設。
警察は「死因究明法」に基づき調査。
医療関連死については過失犯を除く刑法犯に係わる異状のみを届け出
(医師法第21 条は改正)。

 

患者・遺族への説明など 院内での患者・家族をサポートする人材の配置を推奨
ADR(裁判外紛争解決機関)の活用を言及。
院内での医療対話促進者(メディエーター)の設置を義務化。
医療安全支援センターはADR を適宜紹介。

 

院内での患者・家族をサポートする人材の配置を推奨。
医療対話推進者(メディエーター)の育成推進。
調停(法務省認定ADR を含む)を訴訟に前置することを規定する。